仮想通貨で大きな利益を手にした時、最大でかけられる税率は「55%(所得税・住民税)」です。
それに対し、FXで利益が出たとしても分離課税となるため「20%」で済みます。
この違いは一体何なんでしょうか。
株は金融商品ですが、仮想通貨は金融商品に該当しません。
つまり、株は「譲渡所得による税率」、仮想通貨は「雑所得としての税率」が適用されるのです。
そんなおかしな税制を変えるため、「仮想通貨税制を変える会」というものが発足しました。
今回は、その仮想通貨税制を変える会が一体どんな会なのか、どんな活動を行っているのかを調べてみました。
仮想通貨税制を変える会とは?
「仮想通貨税制を変える会」とは、参議院議員の藤巻健史氏を会長として12月1日に立ち上げられた会です。
藤巻氏は「仮想通貨やブロックチェーンの未来を潰してはならない」という想いのもと、仮想通貨やブロックチェーンの専門家との会合や、国会の答弁で積極的に仮想通貨の税制について討論するなどの活動をしています。
仮想通貨税制を変える会は、そんな藤巻氏の活動を応援したり、情報の拡散、意見交換などを行うサポーターを募り、みんなの力で税制を変えていこうというものなのです。
なぜ仮想通貨の税制を変えなければいけないのかというと、税率が高すぎるためです。
現在の税制では仮想通貨売買による利益だけでなく、仮想通貨で物を買ったり、仮想通貨同士を交換したりするだけでも税金が課せられます。
その際の最高税率が、所得税と住民税を合わせて、なんと「55%」にもなるのです。
仮に1000万円を超える利益が出たとしても、その43%が税金になります。
これでは当然、取引や決済活動が活発化することは考えづらく、実際に仮想通貨の発展を大きく阻害している要因だと言われています。
仮想通貨市場を活性化させるには、まず税制は変える必要があり、仮想通貨税制を変える会のような存在は応援すべき団体と言えるかも知れません。
そんな仮想通貨税制を変える会を率いる藤巻健史氏ですが、一体どんな人物なのでしょうか?
調べてみた藤巻健史氏の経歴が凄い!
まず、藤巻氏の経歴の一部をご紹介します。
1970年:一橋大学商学部入学
1974年:三井信託銀行に入社
1980年:米国ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院に留学しMBAを取得
1985年:モルガン銀行に転職
2000年:モルガンを退社後、ジョージ・ソロスのアドバイザーを務める
2013年:日本維新の会から出馬し当選
経歴の一部を抜粋しただけですが、超有名投資家ジョージ・ソロスのアドバイザーまで務めていたというのは凄いですね。
異母兄弟に藤巻幸夫氏がいましたが、残念ながら2014年に膵炎により入院したまま亡くなられています。
幸夫氏もまた日本の有名実業家であり、2003年に倒産したストッキングや靴下などの下着メーカー「福助株式会社」を、1年半で再建させて有名企業にまでしたという腕の持ち主です。
兄の健史氏と同様に、2012年にみんなの党から参議院議員に当選しています。
兄弟揃って日本の歴史にも名を刻むほどの経歴を持っていますが、仮想通貨税制を変える会を立ち上げた健史氏は、仮想通貨やブロックチェーンの専門家と意見を交換しているうちに、「ブロックチェーンは社会インフラを各段に向上させる」と確信したとの事。
だからこそ、今の仮想通貨税制を変える必要があると考え、活動を始めたといいます。
仮想通貨税制を変える会のサポーターの声をご紹介
仮想通貨税制を変える会ですが、12月に発足したばかりで既にサポーターとなっている人が4000人を超えています。
仮想通貨の税制を変えるべきと考えている人がいかに多いかが分かります。
仮想通貨税制を変える会が目標としているのは「サポーター1万人!」です。
サポーターといっても会費や寄付金が必要なわけではありません。メールアドレスさえあれば誰でもサポーター登録ができます。
そんなサポーターからどんな意見が出ているか、一部を見てみましょう。
「日本の未来がかかっている!かも?」
ブロックチェーンは投資としての意味合いもあるが、人口減少で経済規模が縮小する日本の経済を立て直す事ができる可能性を秘めていると感じています。高すぎる税金で、最新技術を排除し、鎖国する事は避けたいです。
■引用:日本の未来がかかっている!かも?|仮想通貨税制を変える会
「藤巻先生、ホンマに期待してます!」
税制を分離課税に変更して、参加者を増えして、仮想通貨市場を日本から再度盛り上げる事で、税制を緩和しても、トータルの税収は上がるはずだし、市場にお金が流れる事で、技術開発が進み、その流れを日本が久しぶりに世界の中でリードできる立場になる唯一のチャンスだと思います!
■引用:藤巻先生、ホンマに期待してます!|仮想通貨税制を変える会
「コインからコインの交換が無税の重要性」
私はあるコインをビットコインにかえ、ICOに投資したため、すでに税金がかかることになっています。来年に上場するとは思わなかったので、この税金を用意できず頭を悩ませています。今の税制の問題がここにあります。それと今年までに税金のために含み損を抱えているコインも利益確定しなければいけないのです。来年期待できるコインなのに税金のために泣く泣く利益確定しなければいけないのは税制の歪みのせいです。こういったことで悩んでいる人も多いのではないでしょうか?それを代弁してくれる唯一の政治家が藤巻先生です。絶対みんなで応援しましょう!
■引用:脱税、海外逃避を防ぐ意味でも|仮想通貨税制を変える会
最後にあった意見は本当に切実でこういった意見も非常に大事だと思います。
藤巻氏は「Peing -質問箱-」というサービスで質問に答えていたり、仮想通貨税制を変える会の公式Twitterアカウントもあります。
1月下旬には通常国会が開会致します。
日本維新の会での法案提出の予定はまだございませんが、弊会会長の藤巻が党内外に発信を強めて参ります。
仮想通貨税制を適切なものに変えるべく、・・・
続きは質問箱へ#peing #質問箱 https://t.co/35CYVSDlB0— 仮想通貨税制を変える会 (@change_kasoutax) December 21, 2018
発言に力強さも感じられ、応援したくなる気持ちになる方も少なくないのではないでしょうか。
とはいえ、「今さら応援し始めたところで…」なんて方もいることでしょう。
しかし、むしろ今からでもできることはやっておいた方が良い理由があります。
そこで最後に、仮想通貨の税制を変えるためにどのくらいの時間を要するのかを簡単に解説いたします。
仮想通貨の税制はいつ変わる?
まず一つの参考として、FXが今の分離課税となるまでに数年かかっています。
仮想通貨税制を変える会の質問箱にも、事務局からの以下のような話があります。
「FXも総合課税から分離課税への税制変更に7年間を要しています。 私達はそれよりも短い期間での税制変更を目標とし、活動に尽力していく所存です。」
■引用:Peing -質問箱- 仮想通貨税制を変える会さんの質問
まず、税制を改正するには、決められた手順を踏まなければなりません。
各省庁が税制改正のために、その年の夏までには関係各所からの意見や要望をまとめます。
その後12月中旬に、与党が提出された要望を元にして「税制改正大綱」を発表するのです。
最終的に年が明けた1~2月頃に国会で審議され、3月中に成立するかどうかという流れとなります。
つまり、仮想通貨の税制を変えるなら、最短でも来年の税制改正に間に合うように、各省庁が提出する要望書に盛り込まれることが大前提となるのです。
では、再来年の国会審議に今からでも間に合うものでしょうか。
実は仮想通貨には乗り越えなければならない壁が残されています。
それは「仮想通貨を金融商品とするかどうか」という問題です。
「今からそれを決めるのか…」と思うかもしれませんが、実は金融庁は既に仮想通貨に金融商品取引法を適用する検討を始めています。
■参考:産経新聞「仮想通貨規制の移行を検討 改正資金決済法から金商法へ 利用者保護を強化」
一般的には、早くても再来年の税制改正のあたりで変わるのではないかという向きもあるようですが、こうした背景を考えると、やはり多くの人が税制改正に向けて声を上げることが重要です。
来年の税制改正に間に合わないにしても、今から行動を起こすことは間違いなく意義あるものになるでしょう。
まとめ
今の仮想通貨の税制は矛盾が多い状態です。
例えば、明らかに金融商品取引法に沿った内容の規制がされているのに税制は今まで通りという点や、本来は譲渡所得と考えられるところを何故か雑所得にしているなどです。
しかし、仮想通貨がこれまでのお金の概念に当てはまらないのは明らかで、全くの新しい資産として考えれば現在の混乱も致し方ない部分はあるでしょう。
だからこそ、一人一人が声を上げていくことで国をも巻き込む新しいフィンテックの創生に繋がっていくのではないでしょうか。