これまで仮想通貨業界初の上場投資信託となる「ビットコインETF」の承認可否について、何度となく多くのメディアで取り上げられてきましたが、今のところ残念なことにあまり明るい話題はありません。
とはいえ、ビットコインETFの申請を出す企業は多くなってきており、仮想通貨のニュースとして取り上げられることも多くなったことから仮想通貨のETFが承認されることの重大さをここ最近で知ったという方もいるのではないでしょうか。
今回は改めて、ビットコインETFの概要を初心者でも分かりやすく解説しつつ、何故これまで拒否され続けてきて、現在どういった状況にあるのかを解説したいと思います。
ビットコインETFの概要
最初にビットコインETFについて簡単におさらいしておきましょう。
「ETF」は「正式な証券取引所で売買できる投資信託」であり、言い換えれば「上場投資信託」です。
投資信託を一つの会社と例えると、その会社の株が証券取引所に上場しているかいないかの違いと言うと分かりやすいでしょう。
上場していない場合は特定の金融機関でないと購入できませんが、上場していればどの証券会社でも購入できる。つまり、広く認知された投資信託か、限られた取引だけの投資信託かという風に解釈することもできます。
ビットコインETFの上場可否が注目される理由
では何故、ビットコインETFの上場可否が注目されているのか。理由を簡単にご説明すると「信用の高さがまるで違う」ということが挙げられます。
先ほど、ETFと一般の投資信託の違いを会社の株に例えて「上場しているかどうかの違い」とお伝えしましたが、「東証1部に上場した株」と「上場していない株式会社の株」では信用度や資金の流入額に大きな差があることは金融に詳しくない方でも何となくご存知かと思います。
同じように、ビットコインETFがアメリカの証券取引所に上場することで信用度が増し、あらゆる金融機関からの巨額資金の流入と、それによる価格高騰に期待できるのです。
ただ現状のところ、ビットコイン自体は米シカゴ・オプション取引所(CBOE)にて「先物商品」ということで認められてはいますが、証券取引所に上場するために必要な「証券取引委員会(以下「SEC」)の承認」が得られていないのです。
申請しては拒否されるビットコインETF
あくまで概要としてビットコインETFをご説明してきました。実はこれまでにビットコインETFは何度も申請が出されていますが、この記事のタイトルの通り、「一度も承認されていない」というのが現状です。
ここで、過去のSECによるビットコインETFの申請却下についてまとめてみたいと思います。
2013年 | Facebook訴訟で知られるウィンクルボス兄弟がビットコインETFの認可申請を提出 |
2017年3月 | SECがビットコインETFの認可申請を拒否 |
2017年4月 | ビットコインETFの拒否について、再考の申請が承認される |
2017年9月 | 同じくSECに申請を出していたヴァンエック社が申請の取り下げ |
2017年12月 | ・アメリカのインターコンチネンタル取引所がビットコインETFの2本を上場申請 ・CBOEがビットコインETFの上場を申請 ・運用会社「ディレクション・インベストメンツ」が独自のETFを申請 |
2018年1月 | ビットコインETFの上場を申請していた4社が申請取り下げとの報道 |
2018年3月 | CBOEよりSECに対してビットコインETFの承認をするよう要請があったとの報道 |
2018年7月 | ・SECがETFを前向きに検討するため、一般投資家の意見を公募 ・ウィンクルボス兄弟の2度目のビットコインETF申請が却下 |
2018年8月 | ・CBOEのビットコインETFの審査可否が9月末に持ち越し ・申請が出されていたビットコインETF9つが一挙に拒否される ・拒否したビットコインETF9つの再審査との報道 |
2018年9月 | ・アメリカの仮想通貨取引所Coinbaseが複数の仮想通貨を組み込むETFのインデックスファンドの申請を示唆 ・CBOEのヴァンエック版ビットコインETFの審査を開始 |
今最も注目されているのはCBOEが申請しているヴァンエック版ビットコインETFです。
元々CBOEは米証券取引委員会SECとの関係が良好な取引所であるとされており、それは2018年3月にビットコインETFの承認をわざわざ要請する書簡を送っていることからも関係の深さを伺うことができます。
SECもその後は有無を言わさず非承認とするのではなく一般に意見を公募するなどしており、若干ながら柔軟な姿勢に変わってきたかと思わせる雰囲気があります。
数々の申請がなぜ承認されないのか
それにしても何故、ここまで世間が注目していて多くの申請が出されたビットコインETFが承認されないのでしょうか。
有名仮想通貨ニュースサイトの「CoinPost」では以下の3つを理由として挙げています。
- 他の商品と比べてまだまだ取引量が少ない
- 取引量の少なさによる価格操作が否めない
- 仮想通貨取引所の多くがSECの規則に沿っていない
元々SECという機関自体が投資家保護や公正な市場形成を目的としていることもあり、確かに価格操作やハッキング事件などが相次ぐ中では、頷ける理由と言えるでしょう。
待たれる2018年末の結果
さて、これまでに仮想通貨業界では何度となく「いつだ!」「どうなる!」と様々な憶測がされてきたビットコインETFですが、その話題に注目が集まる背景には、年初来以降下落し続けた相場に機関投資家の巨額の資金が流入すると見込まれることにあります。
上記にまとめたビットコインETFの申請と審査の中で、最も早く結果が出るとされているのがCBOEのヴァンエック版ビットコインETFです。
現状では最短で12月29日、審査の延期は最大で来年2月中とも言われていますので、数か月もしないうちに何らかの動きや情報が出てくる可能性は考えられます。
その他、現在申請されているビットコインETFについては11月中に結果が出るとの憶測もあり、どちらにせよここ数か月の間に出る情報には注目したほうが良さそうです。
まとめ
ビットコインETFには様々な憶測が飛び交っていますが、上記にご紹介した申請と却下の事実もあることから、市場の見方は「いずれビットコインETF承認の日が来るだろう」という見方が大半です。
当然、承認のニュースが出たことで一時的な高騰に留まる可能性は否めませんが、SECに承認されたという歴史的な出来事が起こるのなら、それは仮想通貨業界の大きな一歩になることは間違いないでしょう。