ここ最近、以前ほど仮想通貨のICOの話題で盛り上がることも少なくなったように思います。実際、ICOの話題をメインにしていたブログなどでも以前より儲からなくなったということを書いている人もいるほどですので、仮想通貨市場の冷え込みと同時にICOの人気も落ち込んだのでしょう。
ICOは果たして儲からなくなったのでしょうか。今回は過去のICOとその後の動きを見ながらICOに参加するならどの時点で売却するべきかを考えていきたいと思います。
上場後に大暴騰を記録したICO
仮想通貨のほとんどはICOから始まり今に至っています。あのイーサリアムも元はICOに始まって、今やビットコインに次ぐ時価総額にまで成長しました。そう考えると、ICOは少しの投資で大きな資産を築けそうにも思えてきますね。
では、実際に過去に行われたICOの中で最も価格が高騰した仮想通貨は何なのでしょうか。驚きの高騰を見せた代表的なICOを見てみましょう。
通貨名 | 上場後の最安値 | 上場後の最高値 | 倍率 |
---|---|---|---|
Spectrecoin | 0.001634ドル | 6.69ドル | 4094.24倍 |
Ethereum | 0.420897ドル | 1427.48ドル | 3391.51倍 |
Neo | 0.074638ドル | 194.92ドル | 2611.53倍 |
Stratis | 0.008686ドル | 22.22ドル | 2558.13倍 |
NXT | 0.002323ドル | 1.89ドル | 813.60倍 |
Lisk | 0.097343ドル | 38.48ドル | 395.30倍 |
Ark | 0.030897ドル | 10.64ドル | 344.37倍 |
Populous | 0.905822 ドル | 75.77ドル | 83.64倍 |
最も高騰した「Spectrecoin(スペクターコイン)は、上場直後は一時的に約3倍にまで価格が上昇する場面もありながら、その後はしばらく上がったり下がったりの繰り返しという動きを続けます。
しかし2018年1月、最安値の何と4000倍以上にもなる6.69ドルという大暴騰を記録します。その後はご存知の通り、仮想通貨バブル終焉による下落を続け、現在は1ドル未満を推移しています。
やはりICOでトークンを保有していれば驚く利益が得られそうに思えますが、こういった高騰を見せるのはごく一部です。では、ICOというのは上場直後にどのくらいの上昇が見込めるものなのかを考えてみたいと思います。
上場直後の高騰があった代表的なICOと倍率
上記にご紹介したICO以外で、明らかに売り抜けが行われたと思わせるICOをご紹介します。ただ、ここでご紹介するICOは売り抜けによる価格下落はあったとしても、先ほどご紹介した代表的なICOのように、その後順調に値を上げ続けている通貨もあります。よって、明らかに売り抜けられたと思われる場面でどのくらい上昇していたかという視点でご覧ください。
通貨名 | 上場直後の最安値 | 上場直後の最高値 | 倍率 |
---|---|---|---|
EOS | 0.822648ドル | 5.35ドル | 6.50倍 |
Populous | 2.7ドル | 8.82ドル | 3.26倍 |
OmiseGO | 0.380517ドル | 1.61ドル | 4.20倍 |
QASH | 0.419795ドル | 2.47ドル | 5.88倍 |
0x | 0.105605ドル | 0.539791ドル | 5.11倍 |
ICOは過去に数多く行われているため、上記5通貨に絞ることで偏りが出る可能性はありますが、少なくとも「明らかに売り抜けられた」と分かるICOに限定して確認したものとしてお考えください。
上記の倍率を見る限り、上場直後の高騰は3倍~6倍のレンジで平均すると約5倍といったところです。ではこのデータを基に、ICOはガチホが良いのか売り抜けが良いのかを考えてみましょう。
過去のICO急騰はバブルあってこそ?
ICOに参加した後は、そのトークンが上場した後に売り抜けるか、それとも先々を見越してガチホするかを判断することになるかと思います。ただ、その判断のどちらが正しいのかなんて誰にも分かりませんよね。
例えば、海外ICOでありながら日本人が立ち上げたプロジェクトとして人気の高いOmiseGO(オミセゴー)は、取引所に上場直後から急騰する場面はなく、まるで長く取引されてきたかのようなチャートらしいチャートを描いています。
■出典:CoinMarketCapチャート
https://coinmarketcap.com/currencies/omisego/
結果どうなったかというと、上場後に0.380517ドルという最安値を付けたものの、ジワリジワリと上昇を続け、2018年1月には約73倍の27.17ドルを記録するまで高騰しました。
取引所上場直後の急騰も急落もなく徐々に価格が高騰した通貨は他にもあります。例を挙げるとすれば、未だ人気のCardano(カルダノ)やIOTA(アイオタ)などが良い例と言えるでしょう。これらは上場後、多少の上昇下落を繰り返しながら徐々に値を上げています。
■出典:CoinMarketCapチャート
https://coinmarketcap.com/currencies/omisego/
上場後に数十倍にもなった仮想通貨は、どれも要因は一つに絞られます。
それは仮想通貨ブームに火が付いた2017年後半から2018年1月頃にかけてバブルがあったためです。言ってしまえば、ICOというのはこういったバブルによる超高騰無くして「ICOで数百倍儲かる!」などと言える代物ではないのです。
つまり、仮想通貨バブルが再び起こるかどうかも分からない現在、過去の実績を理由にICOで大金を投入するというのは危険すぎる賭けとも言えるでしょう。
ICOは5倍になったら売り抜けよう!
ここまで過去の代表的なICOや上場直後の価格の動きを見てみました。ICO投資の戦略は大まかに分けて以下の2つに分かれます。
(2)大暴騰するまでガチホする
この2つのうち、どちらで投資を行うかはやはり人それぞれの事情で考える必要があるでしょう。
(2)の大暴騰までガチホするのであれば、いつくるか分からない2度目の仮想通貨バブルに備えて無理のない資金で塩漬けにするしかありません。
しかし、将来性や話題性に期待が持てるICOであれば、1つ目の売り抜け戦略を選びたいところです。
では、どのタイミングで売り抜けるべきか。それを考えるには先にご紹介した上場後に急騰する場合は平均して5倍前後になるケースが多いという事実が目安になるでしょう。
もちろん、日をかけて10倍や20倍まで高騰した通貨もあります。しかし、それに賭けるには深い分析とホワイトペーパーの読み込み、それによる将来性と話題性を見通す力が必要になります。ICO自体が今や下火になりつつありますが、上場直後に高騰するものが全く無いわけではありません。
よって、少ない資金を分散投資するつもりで上場直後の仮想通貨を複数購入し、5倍前後になったところで売り抜けるという戦略が今のところ現実的なのではないかと考えられます。
まとめ
売り抜けるかどうかはその人次第。売り抜けではなく細かく分散投資して持ち続けている人も数多くいます。分散して投資するということは、投資した数だけ管理の手間もかかるというデメリットがあります。それらを楽しんで行えるということであれば問題ありませんが、日々忙しくされている方であれば、長期間の投資するつもりで少額資金を塩漬けにしておくという戦略でも良いかもしれませんね。