前回の記事で国内外合わせて6社の貸仮想通貨のサービスの比較をご紹介しました。
仮想通貨のレンディングサービスとは自分の持っている仮想通貨を貸すことで一定の利率による利益が乗って返還されるというもの。しかし、実際にどのくらいの利息が付いて貸出期間はどのくらいなのでしょうか。
今回の記事では「そもそも貸仮想通貨とは?」「レンディングサービス?」という方のために、より具体的に仮想通貨のレンディングサービスについて解説いたします。
仮想通貨のレンディングサービスは2種類
冒頭の通り、仮想通貨レンディングサービスとは自身が保有する仮想通貨を第三者に貸し出すことで、元本に利息が上乗せされて償還されるというものです。
私達が日頃利用している銀行口座もある意味では銀行が他にお金を貸して得た利益から微々たる利息を個人の口座に付与していますので、仕組みとしてはほぼ同じということが言えます。なお、仮想通貨レンディングサービスは以下の種類に2つに分けられます。
・取引所に仮想通貨を貸すサービス
個人に貸し出すというのは少々リスクが高いように思えますが、基本的には取引所が間に入っていますので、一定のリスク回避は可能です。更に上記の二つは「個人に仮想通貨を貸す=海外取引所」「取引所に仮想通貨を貸す=国内取引所」という風に分けられます。
これは現在提供されているサービスがそのようになっているという事であり、今後、国内においても個人へ貸し出すサービスが開始される可能性は0ではありません。但し、その際に貸金業への登録が必要となるかどうかの法整備がなされないことには、なかなか難しいかもしれません。
国内と海外口座を比較してみよう!
まずは海外取引所と国内取引所における仮想通貨レンディングの違いを見てみましょう。レンディングサービスの内容は各取引所で共通する部分が多いため、ここでは「Poloniex」「国内3業者」「CoinOn」を国内と海外の代表的なサービスとして比較してみたいと思います。
海外取引所(Poloniex) | 国内取引所(国内3業者) | 取引所以外(CoinOn) | |
---|---|---|---|
貸出可能な通貨種類 | 多い | 普通 | 少ない |
最低通貨数 | 少ない | 高め | 多い |
貸出期間 | 短い(最短1日) | 長い(最短14日) | 短い(最短1日) |
利率 | 非常に高い | 低い(5%前後) | 普通(10%) |
中途解約 | 不可 | 取引所による | 可能 |
取引所以外にも事業として仮想通貨レンディングを行う会社もありますが、海外の取引所以外のレンディングサービスについては情報が少ないためリスクが高いと判断して除外しました。
海外取引所であるPoloniexは最低貸出数量が0.01BTCから可能です。それに対し、国内取引所は最低でも10万円以上(コインチェック)からとなるため高めと言えるでしょう。CoinOnも同様です。利率の比較については、国内の取引所、取引所以外は10%を上回りません。
それに対して海外取引所では数十%の利率が当然のように設定されており、100%を超える時もあります。10%の利率も悪くありませんが、海外取引所と比べてしまうと国内取引所の利率が低く見えてしまうのは致し方ないのかもしれません。
貸した仮想通貨はどのように運営されている?
さて、実際に各取引所や取引所以外の仮想通貨レンディングを利用した際、資金を調達した取引所などは、どのように運用して利益を出しているのでしょうか。
海外取引所の場合ですが、仮想通貨FXを行う個人に貸し出しています。つまり、個人が個人に仮想通貨を貸し出すP2P取引を取引所のシステムを介して行っているということです。
仮想通貨を貸してもらった個人は、それを原資として取引を行い、借りた仮想通貨に利息分を上乗せして返却します。これにより、貸した側は利益を得られるということです。
では、国内の取引所と取引所以外はどうかというと、実は明確な情報がありません。利用規約やサービス概要などを細かく調べても、国内業者はどう運用しているのかといったことや別のところに貸し出しているなどの情報を開示していないのです。
一般の投資信託が様々な情報を開示していることを考えると、運用先が分からないというのは少々不安要素ではありますが、現在の冷え切った相場を加味して一定期間は一部の仮想通貨を貸し出しておいても良いかもしれません。
仮想通貨レンディング特有のリスク
ここまで見ると、利率が低いかどうかは別にしてもメリットだらけのように思えます。しかし、投資であることに変わりありませんのでリスクは伴います。最後に仮想通貨レンディングで主に共通しているリスクを考えてみましょう。
- 【仮想通貨レンディングのリスク】
- ・取引所が破綻したら貸し出した仮想通貨は戻らない
- ・貸出期間中は売却や中途解約ができないことが多いため、相場の下落リスクに対応できない
- ・分別管理の対象ではない為、ハッキングで盗難される可能性がゼロではない
- ・ハードフォークにより分裂した仮想通貨を受け取れない
- ・そもそも元本保証がされていない
中途解約は取引所により違いますが、国内業者のうちコインチェックでは貸し出し後の中途解約ができません。正確には、死亡や破産などのやむを得ない場合は中途解約も可能ですが、基本的にはできないものと考えたほうが良いでしょう。
上記のリスクをまとめると、まだまだ発展途上のサービスであるため、正直なところリスクは高いサービスと言えるでしょう。特に海外取引所に関しては全てが英文での情報開示であるため、どこに何が書いてあるのかすら一般の方には分かりづらく、リスクが把握しづらいという致命的なデメリットがあります。
大事な資産を貸し出すのですから、仮想通貨レンディングを始めてみたいという方は、リスクが許容できる範囲内での通貨数で利用して見るということをお勧めいたします。
まとめ
今回は仮想通貨レンディングサービスを主要な国内業者と海外業者で比較してみました。最も大きな違いは、貸した仮想通貨に利息が付く仕組みが明確であるかどうかということでしょう。国内業者は一切情報を開示していない為、どのように運用されているのかが不明です。
しかし、海外業者の場合はFXトレーダーなどに貸し出されて、利息と上乗せされて返却されるということが分かっています。利息や貸出期間、最低通貨数などは取引所や通貨種別により様々ではありますが、不明確な情報が多すぎるということを考えると、特に国内業者に関しては法整備による透明性の確保が喫緊の課題と言えるでしょう。