2018年開始と同時に日本でも仮想通貨が一気にブームとなりました。しかし、仮想通貨を始めてからよく耳にするのが「このグラフ、どうやって見るの?」という質問です。
つまり、「チャートの見方が分からない」という方が非常に多い訳ですが、初心者にはそれぞれのチャートが何を示すのかなんて全然分かりませんよね。
実はチャートの見方はとても簡単なんです。
今回は仮想通貨の取引でよく見る「ローソク足の見方」を初心者でも分かるように解説させていただき、最後に簡単な分析方法もご紹介します。
初心者でも分かる!ローソク足の見方
先日の記事でもローソク足の見方をご紹介しましたが、記事のボリュームの都合もあり、簡単なご説明に留まりました。しかし、ローソク足はチャートを見る上での基本中の基本ですから、この記事でしっかり学んでいきましょう。ローソク足がどのようなものか言葉で説明するより、まずは以下の図をご覧いただくと分かりやすいでしょう。
それでは次に、ローソク足の各部位の用語とその意味を覚えましょう。
始値 | チャートに設定した時間のスタート価格 |
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終値 | チャートに設定した時間の最後に記録した価格 |
高値 | チャートに設定した時間で最も高くなった価格 |
安値 | チャートに設定した時間で最も安かった価格 |
陽線 | 価格が上昇するときに現れる上に伸びたローソク足 |
陰線 | 価格が下落するときに現れる下に伸びるローソク足 |
実体 | チャートに設定した時間内のスタートから終わりまでの価格幅を表す |
ヒゲ | チャートに設定した時間内で動いた一時的な価格の幅 |
「チャートに設定した時間」というのは、「5分足」「30分足」「1時間足」「日足」「週足」といった、1本のローソク足が更新される時間のことです。上図のローソク足が5分足なら、5分間の始値から終値の動き、そして5分の間で一時的にどこまで高い価格になったか(高値のヒゲ)、逆に一時的にどこまで安くなったか(安値のヒゲ)を示していることになり、6分後からは上図ローソク足の右側に新たなローソク足が現れるということです。
なお、陽線と陰線の色ですが、赤を陽線とするチャートと青を陽線とするチャートと取引会社により違います。大抵は設定で変更できますが、「陽」という言葉から太陽をイメージして赤にする人もいれば、「安全」をイメージして青を陽線に設定する人もおり、自分の感覚的に見やすい方で設定すれば問題ありません。
ローソク足は形よって名前がある
ローソク足の見方の基本をお伝えしましたが、これは見慣れるまでに少しだけ時間がかかりますので、比較的に見慣れていると思われる日経平均株価のローソク足などを見て、「今日の始値は22000円だったけど終値は22100円で、一時的に22200円の高値を付けた…」なんていう風に、自分に対して言葉で説明するつもりで見ていくと覚えるのが早くなります。
ところで、ローソク足と言っても、実は様々な形に対して日本人独特とも言える名前が付いています。非常に種類が多いため全てはご紹介できませんが、代表的なローソク足と名前、一般的にどう捉えられる形なのかをいくつかご紹介いたします。
丸坊主
ヒゲが無く、実体のみで形成されたローソク足です。設定した時間足内は買い続けられた、売り続けられたと見ることができ、陽であれば非常に強い買い、陰であれば非常に強い売りのサインとなります。
大陽線・大陰線
丸坊主と同様に強い買い・売りのサインとなります。丸坊主も大陽線・大陰線も同様ですが、重要なのは形ではなく、「そのローソク足の長さ」です。つまり、丸坊主も大陽線・大陰線も実体の長さが長いほど買い・売りの圧力が強いサインですので、丸坊主も大陽線・大陰線が出た時は素直にその方向へ目線を向けるのが吉となります。
カラカサ
カラカサは、陽と陰で捉え方が違います。陽のカラカサは、その時間が始まってから一時大きく値を下げたものの、最終的な終値は少しだけプラスで終わったことを示すため、売り圧力より買い圧力の方が勝ったと言えます。
陰のカラカサは、その時間内に大きく値を下げてからある程度値を戻したものの、最終的には終値がマイナスで終わっていますので、売り圧力が優勢である状態は変わらなかったことを示します。
トンボ・トウバ
トンボ・トウバも考え方はカラカサと似ていますが、陽か陰かで捉えるよりも、その形が物語ることを察することが重要です。例えばトンボが出た場合、その時間が始まってから一時値を下げるネガティブなニュースなどが出たものの、最終的にポジティブな捉え方に変わって買いが集まったことを示します。
つまり、トンボが出た後は買いが継続していく可能性が高いというサインです。トウバはその逆で、一時大きく買われるニュースなどがあったものの、実はそこまでポジティブな内容では無いと市場が冷静に判断した結果、すぐに売りが始まって始値と変わらない水準まで戻したことを示します。つまり、トウバが出た後は売りが継続していく可能性が考えられます。
一本のローソク足から見えてくる市場心理
ローソク足の見方や種類をご紹介しましたが、単に形や名称だけ覚えても役に立ちません。まずは、たった一本のローソク足が何を示しているかを考える力が必要です。
考えると言っても、どちらかというと「イメージする」ということに近いでしょう。例えば、以下のようなローソク足が出た場合、それぞれどのような市場心理があると考えるべきでしょうか。
①これは陽のカラカサです。この形が出るということは、価格変動が始まってから一時的にヒゲの最下部まで値を下げる場面もあったが、最終的に終値(実体の最上部)まで買われて終わったということです。つまり、その時間の中では市場は買う意思を強く持っており、下げよりも上げの圧力が強いため、この後は陰線よりも陽線が継続して出る可能性の方が高いという風に捉えることができます。
②これは上記までにご紹介していませんが「トンカチ」という名前です。価格変動が始まってからヒゲの最上部まで買われたものの買い気はそこまで続かず、息切れした結果、終値(実体の最下部)まで売られて終わったということです。これも、その時間の中で買う人よりも売る人の方が多かった結果を示していますので、次のローソク足からも下落が続く可能性が高いという見方ができます。
③・④も同じく上記までにご紹介していませんが、「十字線」と呼ばれています。実体がほとんどなく、ヒゲだけが上下に伸びています。ここから読み取れる市場心理は、「買い気も売り気もない」ということです。つまり、価格変動を起こすほどの売り買いが無いため相場価格が動いていない、もしくは買いと売りの圧力がほぼ同等であるため、拮抗している状態という風に捉えることができます。
一般的に、上昇相場の天井で十字線が出た時には「買い圧力が弱まった」と判断されて、その後は調整下落や下落転換することが多く、逆に下落相場の一番下で十字線が出た時は売りが止まったと判断されて、買いに転換することが多くあります。では最後に、相場心理をローソク足が示していることがよく分かるチャートから、実際のチャート分析をしてみましょう。
【例題】この後相場はどう動く?
ローソク足の見方や捉え方を覚えてきたところで、早くもチャート分析の問題を出してみたいと思います。とはいえ、そんなに難しいものではなく、上記までの基本が抑えられていれば解けるはずの問題です。まずは以下のチャートをご覧ください。
上げたり下げたりしながら徐々に値を下げていることが分かりますが、直前に大きく上げ、その後は再び下げ始めてチャートが終わっています。では、この後のチャートはどのように動くでしょうか。ヒントとして以下の図をご覧ください。
カラカサやトンボに近い陽線が出ていますね。直前まで下げ続けたローソク足の後にこの形が出たことで考えられるのは以下のような事。「直前まで売りたい人が多かったものの、相場全体としてはこれ以上売る理由はなく、むしろ買いの要因となるイベントが起こった」人によって別の捉え方をされる方もいるかもしれませんが、おおよそ以上のように見れば良いでしょう。では正解として、この後の動きを見てみましょう。
ご覧の通り、先ほどのローソク足が出た後に相場は大きく上昇を始めました。やはり、売り圧力よりも買い圧力の方が強かったため、そのまま継続して上昇するサインだったことが分かります。チャートの種類も以下の記事でご紹介していますが、実に様々なものがあります。その中でもローソク足は、相場の心理を読み取るのに非常に役に立つもので、世界中の人が愛用しています。
ローソク足一本が物語るものや、前後数本から数十本のローソク足を見て、今後相場がどう動いていきたいと思っているのかを読み解いていくことが、勝ちに繋がるヒントとなるのです。
まとめ
仮想通貨だけに限らず、ローソク足は株やFX、先物取引などにおいて広く利用されています。リアルタイムでローソク足の形が変化するチャートソフトやアプリも多数存在しますが、今回解説した基本を押さえてから見てみると、相場が何を考えて動いているのかが更に捉えやすくなります。
ところで、誰か一人や複数人の代表が相場を動かしているわけではないのに、なぜ「市場心理」とか「相場の考え」といった言葉を使っているかをご存知でしょうか。
投資家の間では、相場というのは「一つの生き物」として捉える必要があり、相場という生き物が何を考えているかを的確に捉えられないと勝てないというのが定説です。世の中の投資家全員が動かしているのが相場やチャートです。
しかしながら、その投資家全員の心理を一つの生き物として考え、この後チャートをどちらに動かそうとしているのかを考えていくことが勝利への第一歩です。ローソク足というのは、その大きな動きのキッカケとなる小さな動きを捉えるためにあるのです。