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NEMが電力供給に貢献!みんな電力の「電力トレーサビリティ」とは?

NEMが電力供給に貢献!みんな電力の「電力トレーサビリティ」とは?

先日、みんな電力株式会社が発表したブロックチェーンによる電力トレーサビリティの商用化が話題になっています。トレーサビリティというのは代表的なところでは「顔の見える生産者」があります。例えば、スーパーで「私が作りました」というポップを見かけることがありますが、単に消費者を安心させるだけが目的ではなく、品質管理の上でも重要な情報となります。

生産者も出荷元も、まして原材料も分からない食品を買うのは抵抗がある人も多いでしょう。生産者や生産過程、入出荷の記録、商品として陳列されるまでのあらゆる記録が残っているからこそ安心して購入できるのです。それは食品偽造の防止や食中毒などが起きた時の原因追求を可能にすることにも繋がります。そんなトレーサビリティを電力にも応用しようというのが「電力トレーサビリティ」です。

今回は仮想通貨NEMの仕組みが使用されることになった、みんな電力株式会社のブロックチェーン技術による電力トレーサビリティの概要とそれによって将来的にどんなことが可能になるのかを解説します。

電力トレーサビリティの課題

トレーサビリティは「トレース」「アビリティ」に分離すると分かりやすいでしょう。トレースは「追跡」、アビリティは「能力」ですので「トレーサビリティ=追跡可能な能力」ということです。これに電力が付くと「電力を追跡可能にする能力」となるわけですが、これでは全く意味が分かりませんよね。昨今注目されている「電気の個人売買システム(P2P)」という考え方がありますが、それには以下のような課題解決が必要不可欠です。

  • 24時間365日、常に使われる電力を供給し続けること
  • 膨大なデータを処理するシステムの構築
  • 各家庭や企業の使用した電気量を正確に記録しなければならない
  • 電気料金の改ざん防止や、各システムの維持管理費の捻出

これを電気の小売業者が行おうと思っても限界があります。特定のエリアの小規模な範囲であれば可能かもしれませんが、それでは電力の自由化は進みません。そこでブロックチェーンを応用した「電力を追跡するシステム=電力トレーサビリティ」が重要となってくるのです。

みんな電力が始めた電力トレーサビリティ事業の概要

みんな電力株式会社は、2011年設立の大手電力会社以外の電力を供給する「新電力」と呼ばれる事業を行う会社です。あまり知られていませんが、日本でも個人や中小企業による電力事業は広く行われており、太陽光発電を始めとして、自治体による水力発電事業、放置された森林の間伐材で出た木材の利用、中には天ぷら油を活用した電力事業というのもあります。このように生産された再生エネルギーによる電力を一箇所に集め、必要とする人に供給していこうというのが、みんな電力の事業なのです。

その再生エネルギーは供給するだけではなくトレーサビリティが重要となります。そこで、みんな電力では「顔の見える電気」と銘打って、電力の生産者や出力容量などを一覧化した上で、電力の生産者を応援できる仕組みを導入しています。電力のユーザーから応援された生産者には電気料金の一部が寄付され、継続して応援したユーザーにはお米などがプレゼントされるという特典もあります。

■出典:みんな電力「みんな電力の特徴」
https://minden.co.jp/personal/quality

生産者とユーザーの両方にメリットのある、環境面や透明性の高い電力需給という面で非常に良い仕組みと言えます。ただ、電力の生産者を指定して個人間で電力を売買する「P2P取引」ができるわけではありません。電力のP2P取引のためには大掛かりなシステムの構築が必要になり、まだまだ乗り越えなければいけない壁が多くあると言われています。そこで注目されたのが今回の大ニュースです。なんと、日本でも人気の「NEM」の仕組みを応用し、みんな電力が電力のP2P取引をサービスとして開始すると発表したのです。

世界初のブロックチェーン技術による電力トレーサビリティ

みんな電力が始めた「ブロックチェーン技術による電力トレーサビリティ」がニュースとして報道されたのは2018年2月のことで、今秋にはサービスを開始するとのことでした。その後みんな電力は、ブロックチェーンP2P電力取引システム「ENECTION2.0」の開発を完了させ、9月から利用試験を開始します。そして今回、実験の結果として取引が成立させられることを確認できたため、2019年4月には世界初の電力トレーサビリティのサービスを開始すると発表したのです。NEMの仕組みが電力トレーサビリティにどう使われるのかというと、主に以下のような仕組みで応用されています。

  • 発電された電力のトークン化
  • どこで生産された電力であるかを記録する
  • 取引の結果をブロックチェーンに記録する

簡単に言うと、先ほど登場したENECTION2.0というP2P電力取引システムにNEMが大きく関わることになるということです。

■出典:みんな電力NEWS
https://minden.co.jp/personal/news/2018/12/05/587

実験は商業施設や工場などの数社が参加するという程度の規模でしたが、2018年2月に発表した内容によると、個人間の売買も想定しており、近いうちに個人間の電力売買サービスも開始されるのはおそらく間違いないでしょう。

ブロックチェーンによる電力トレーサビリティで可能になること

少々難しい言葉や仕組みをご紹介してきましたが、最後に今回のニュースリリースからどんなことが可能になるかを見てみましょう。

  • 指定した電力を消費したことの確認ができる
  • どこで作られた電力を使ったかの証明が可能
  • 太陽光パネルで発電した電力をトークン化して販売できる
  • トークンを持っていれば低コストで電気を購入できる
  • 電力のトークン化により第三者に電力のプレゼントができる

etc…

その他にも、例えば遠く離れた親戚に電力トークンをプレゼントして電気料金の代わりに使ってもらうこともできるでしょうし、ご近所の人に余った電気をお裾分けなんてことも可能になります。

■出典:みんな電力NEWS
https://minden.co.jp/personal/news/2018/02/28/548

また、電力をトークン化するということはトークン自体の取引が行われることも想定されますので、安くトークンを買って、電気料金に使ったり、高値で売って儲けたりなんてこともできるかもしれません。個人向けサービスがいつになるかは発表されていませんが、そう遠くはない日に実現されることでしょう。仮想通貨もついにここまで来たかと思わせる電力トレーサビリティ事業。これを機に改めてNEMの有用性の高さが再認識されるのではないかとも考えられます。

まとめ

ここ最近、NEM関連の情報を発信する機会が増えたように感じます。筆者自身もNEM保有者ではありますが、取引以外で扱われる仮想通貨の状況を見ていると、明らかにNEMが活用される場面が多くなっているようです。先日以下の記事でもお伝えしたように、仮想通貨の今の主流は取引による損益ではなく「どう活用するか」です。

2019年要注目のマネーフォワードの仮想通貨事業とは?

そう考えると、2019年はブロックチェーンを活用したサービスの話題が何かと多くなることが予想されます。今年の仮想通貨業界を振り返りつつ、2019年の仮想通貨にどのように変化していくか想像してみると、フィンテックどころではない大きな変化があるのではないかと感じざるを得ません。