2018年現在、2000種類以上の仮想通貨が存在しています。なかでも、時価総額(価値の合計額)の大きい順から「ビットコイン(BTC)」「イーサリアム(ETH)」「リップル(XRP)」は代表的な3種類の仮想通貨です。「それぞれの通貨は、いったい何が違うの?」と思われる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、上記3つの仮想通貨の違いを徹底解説。それぞれの特徴を知っていれば、通貨ごとの価値への理解が深まり、自信を持って投資できるはずです。さっそく、詳しくみていきましょう!
仮想通貨の王様「ビットコイン(BTC)」
名称 | Bitcoin(表記:BTC) |
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公開 | 2009年1月 |
時価総額 | 12.48兆円(2018年10月時点、第1位) |
発行上限枚数 | 2100万枚 |
ブロック生成時間 | 約10分 |
備考 | 決済(支払い)を目的とする |
まず、仮想通貨といえばおなじみのビットコインから。ビットコインは、もっとも歴史が古くかつ一番大規模な仮想通貨です。仮想通貨業界では、ビットコインは「基軸通貨(ベースとなる通貨)」とされています。
また、ビットコイン以外の全ての仮想通貨を「アルトコイン」と呼び区別していることからも、ビットコインは特別な仮想通貨なのです。イーサリアム、リップルとどの点が異なるのか、1つずつみてみましょう。
決済(支払い)のためのシンプルな通貨
ビットコインには、余分な機能がなく、「決済(支払い)」されできればOKという思想で設計されています。決済の基本は、Aさん→Bさんへの通貨の移動。ビットコインにできることは、今のところこれだけなのです。
後述するイーサリアムやリップルに機能の追加が見られるのとは対照的。ただそれでも、銀行を介さずに送金ができることや、スマホ1つで取引を完結させることができるため、お金のあり方に革命を与えると言われています。またシンプルである分、セキュリティを徹底的に高めているのも特徴。世界でもっとも信頼できる決済用暗号通貨として、今後も価値を保ち続けることでしょう。
「非中央集権的」な仕組みが特徴
非中央集権的とは、中央(特定の管理者)に権力が集中しておらず、民主的な仕組みを指します。ビットコインには特定の管理者が存在せず、「ビットコイン」という1つのシステムが自立的に動いています。そのため、誰も自分の利益のためにビットコインをコントロールできません。
たとえば、日本円には「日本銀行」という管理者がおり、通貨の流通量をコントロールできます。ビットコインはそれさえ不可能なので、非常時に「米ドルや日本円などの政府発行通貨よりも信頼性が高い」と評価されることもあり得ます。イーサリアムやリップルよりも、一層完璧な「非中央集権的」な性質を持っているのがビットコインなのです。
No.1のICOプラットフォーム「イーサリアム(ETH)」
名称 | Ethereum(ETH) |
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公開 | 2014年7月 |
時価総額 | 2.34兆円(2018年10月時点、第2位) |
発行上限枚数 | なし |
ブロック生成時間 | 約12秒 |
備考 | プラットフォーム提供を目的とする |
イーサリアムは、ビットコインの次に大きな仮想通貨です。2014年に誕生し、新しく仮想通貨を発行する「ICO」のプラットフォーム(基盤)として圧倒的な成長を見せ、時価総額2位まで上り詰めました。上述したように、ビットコインはシンプルで堅牢な仮想通貨。一方でイーサリアムは、汎用性の高さ、高機能さが特徴となっています。ビットコインにできないこともイーサリアムには出来てしまう、万能な仮想通貨なのです。
「ICO」「DApps」「スマートコントラクト」など、高い汎用性
イーサリアムが高く評価される要因の1つは、ICOプラットフォームとしての圧倒的なシェアです。ICO投資は、新たに発行される仮想通貨に投資する手法。2018年後半では少々落ち込んでいますが、2017~18年にかけて、ICOブームが到来しました。このICOのほとんどが、実はイーサリアムのブロックチェーン上で行われているのです。
その他、仮想通貨のブロックチェーン上で「アプリ」を動かす機能(DApps)や定められた「契約」に基づいて自動的に決済を完了できる機能(スマートコントラクト)といった要素もイーサリアムの大きな特徴。「ICO」「DApps」「スマートコントラクト」はすべて、ビットコインやリップルにはなく、イーサリアムの特徴的な機能となっています。
基本的に「非中央集権的」だが、一部「中央集権的」
イーサリアムはビットコインと同じく、特定の管理者が存在しません。つまり、イーサリアムもプログラムに従って自動的に動く「非中央集権的」な仮想通貨です。
しかし注意点として、イーサリアムのブロックチェーン上で発行される、独自の仮想通貨(ICOトークン)には管理者が存在します。たとえば、ICOには明確な管理者(プロジェクト)がおり、資金調達を募っています。このため、基本的には非中央集権的だが、一部中央集権的な性質があるのがイーサリアムの特徴です。
手数料が安く、送金が早い「リップル(XRP)」
名称 | Ripple(XRP) |
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公開 | 2014年7月 |
時価総額 | 2.04兆円(2018年10月時点、第3位) |
発行上限枚数 | 1000億枚 |
ブロック生成時間 | 約4秒 |
備考 | 国際送金を目的とする |
リップルは、イーサリアムと同じく2014年に誕生した仮想通貨。時価総額は3位です。非常に人気が高い仮想通貨であり、格付け機関「Weiss Ratings」が2018年10月に実施した、『1ドル以下の仮想通貨の中で1番購入したい銘柄はどれか?』の調査では、リップルに64%の票が集まり、圧倒的1位に輝きました。しかも人気が高いだけではなく、銀行間の国際送金に使われる仮想通貨としても、将来性が期待されています。
「銀行間の国際送金」を目的とした仮想通貨
リップルは、銀行間の国際送金を目的とした仮想通貨。国をまたぐ送金を安い手数料で早く行うことができ、この性質ではビットコインやイーサリアムを凌駕しています。国際送金と言われても、多くの人がピンとこないでしょう。実は国際送金の市場規模は非常に大きく、年間2250兆ドル(約28京5000兆円)。既存の国際送金システムの代表格「SWIFT」は、手数料が高く、送金も遅い(1週間ほど要する)
一方、リップルを使えば安い手数料で、「数秒」で送金が完了します。このことから、SWIFTからリップルへの世代交代は濃厚とされ、事実、数々の国内銀行、世界的金融機関、送金プロバイダーなどと提携が進んでいます。仮想通貨の中では、もっとも成長の手応えを掴んでいるのがリップルと言えるでしょう。
リップル社の影響を受けやすい
仮想通貨リップル(正確には「XRP」)は、リップル社という発行体が存在します。その点で、ビットコインやイーサリアムよりも「中央集権的」な性質を持ちます。これにより、仮想通貨リップルは、「リップル社の影響を受けやすい」というデメリットがあります。(必ずしもデメリットとは言えない面もあるが…)。
たとえば、リップル社は「2021年までに500億XRPを保有し続ける」としており、これはリップルの総供給量の5割にも上ります。ビットコインやイーサリアムは、特定の管理主体への信頼を不要とするシステムであるのに対し、リップルは「リップル社」を信頼することで成り立っている仮想通貨と言えるでしょう。
まとめ
ここまで、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)のそれぞれの違いを、特に重要な部分に限定して解説しました。結論、どの仮想通貨がもっとも優れているのでしょうか。月並みとはいえ、実際のところは「一長一短」でしょう。
ビットコインは決済に向き、リップルは銀行間の国際送金に適しており、イーサリアムは通貨の枠を超えた総合的なプラットフォームとして機能します。仮想通貨とは一口にいっても、役割分担が異なるといえます。投資判断としては、どの領域が成長しそうか?を見て、それぞれの保有比率を検討していく、もしくは分散投資が効果的と言えるでしょう。